著者:牧 潤二 氏医療ジャーナリスト
厚生労働省では平成22年5月、チーム医療の推進を目的として、チーム医療推進会議を発足させた。後に、その下部組織として「チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ(WG)」、「チーム医療推進方策検討ワーキンググループ(WG)」を設置した。また、チーム医療推進会議、チーム医療推進方策検討WGには、リハビリテーション関係の職種を代表する者が構成員として参加している。今年(平成24年)6月13日、およそ半年ぶりにチーム医療推進会議(第11回)が開催され、主として、「チーム医療推進のための看護業務検討WG」からの報告について議論した。そこで、リハビリテーション職の視点から、チーム医療推進会議とWGの取り組み、第11回同会議のポイントなどについてリポートしよう。
●チーム医療推進方策検討WGが事例集をまとめる
6月13日に開催されたチーム医療推進会議では、事務局(厚生労働省医政局)および「チーム医療推進のための看護業務検討WG」座長が、203項目(前述)についての検討状況を報告。それに対して、各構成員が質問をしたり、意見を述べた。
その203項目のうちリハビリテーション関係では次の3項目があるが、同WGでは、いずれも「医行為に該当しない」として、Eの評価を付けている。それぞれの医行為番号、医行為名、概要は次のとおりである。
【医行為番号189】
【医行為番号190】
概要:整形外科領域の補助具(杖、松葉杖、歩行器、車椅子等の日常生活用具)について、移動距離および範囲、または移動後に行う排泄行為、整容行為等の日常生活動作の一連を考慮した上で、病状および残存する身体能力、または生活・住居環境に応じて、自立の援助に必要かつ適切と判断される補助具を選択・決定し、注文を行う。(評価:E)
【医行為番号191】
●看護師でなく「専門職が判断すべき」との指摘が
それらのリハビリテーション関連の行為がE評価で「医行為に該当しない」とされていることを踏まえて、チーム医療推進会議(第11回)で、構成員の半田一登氏(前出)が「整形外科領域の補助具の決定、注文」(医行為番号190)に関して、「100万円もするような補助具の決定・注文が評価Eというのは問題ではないか」といった趣旨の指摘をした。それに対して論点は少しずれているが、事務局(厚生労働省医政局)では「あくまでも、看護師が実施する場合を前提とした資料である」と答弁。また、「チーム医療推進のための看護業務検討WG」座長からも「もともと、看護業務に特化して検討してきた資料である」との説明があった。
まさに、問題が複雑になってしまったことの理由は、そのあたりにありそうだ。すなわち、「チーム医療推進のための看護業務検討WG」は、チーム医療の推進について検討することが前提になっているものの、看護業務にしか目が行っておらず、リハビリテーション関係職種は視野の外にある。仮に「看護師特定能力認証制度」ができたとしても、チーム医療である以上、そのチームにはリハビリテーション関係職種が参加しているはずだ。それに関して、今回のチーム医療推進会議で、コメディカルの職種に相当する構成員が「そこに専門職がいる場合、(看護師ではなく)専門職が判断すべきである」と指摘した。
もちろん、「チーム医療推進のための看護業務検討WG」がどのような判断をしても、最終的には「親会議」に当たるチーム医療推進会議に上がってきて、ここで最終的な決定をすることになる。ここでは、まさに多職種によるチーム医療という視点が求められる。半田氏を含めて、同会議でのリハビリテーション関係職種、その他コメディカルの職種を代表する構成員の役割は重要だ。