著者:中川 昌子 氏
作業療法士歴31年。
現在総合病院リハビリテーション科の副技師長として勤務。
今回の内容は「リーダーシップとコミュニケーション」です。セミナーを開催した中から以下にシェアさせていただきます。
今回のセミナーは、予想以上にエネルギーのいることでしたが、何とかやり遂げることが出来たこと、それから参加者の方たちが「コーチング」に興味を持ってくださったことがアンケートから伝わってきましたので、手前味噌ですが「やっぱり、やってよかった」と思っています。
セミナーに、参加して下さった方もそうですが、参加できなかった方もこのタイトルに興味を持たれたようですので、少し説明をさせていただきますと。
「12人まで・・・」にしたのは
実際にある現場リーダーの声
リーダーは、いつも元気でみんなをぐいぐい引っ張っていくもの、というイメージがありますが、一口に「リーダー」と言っても、色々なタイプがありますし、生身のリーダーはそれほどタフな人ばかりではないのです。それに、年齢の近い上司と部下との間では、力関係がアンバランスなこともあります。場合によっては、部下の方が高いスキルを持っていたりしますから、そういう中でのリーダーは結構大変なのです。
普段は元気なリーダーでも、上に書いたことが一つも当てはまらない人は、ほとんどいないでしょう。ストレスがたまりすぎたときは、セルフコントロールがきかなくなり、すっかり調子を崩すこともあります。例えば、協調性があってサポーティブなリーダーほど、バーンアウトを起こしやすい。そうならないためにはどうしたらいいのか。これはチーム全体に影響を及ぼす大きなテーマです。
「コミュニケーション講座」にしたのは
参加者よりいただいたフィードバックから、私がお話した事例によく似た現場が、ほかにもあることがわかりました。身近なところに相談できる人がいればいいのですが、「こんな初歩的なこと、恥ずかしくて誰にも聞けない」と思っている人が意外と多いのです。
参加者の皆さんは、まさしく私がイメージしていた通りのリーダーでした。どのようにスタッフの話を聞いて(聴いて)、アドバイスしてあげたらいいのか。どんなふうに他職種とコミュニケーションをとったらいいのか。上司と部下の対立をどんなふうに調整したらいいのか、リーダーとしての自分のあり方はこれでいいのだろうか。皆さんは現場で懸命に対応しながら、「何かいい方法がないのだろうか」と試行錯誤していました。私は、こういうリーダーの受け皿が必要だと、ずっと思っています。それは、リーダー個人のためでもありますが、リーダーの在り方によってチーム全体のパフォーマンスや雰囲気が大きく左右され、その影響が患者さんにダイレクトに伝わるからです。
次回は、「コーチング(GROWモデルとコーチングスキル)」について紹介する予定です。
作業療法士歴31年。担当患者数延べ7万5千人。
リハビリテーションセンター・大学病院・精神病院・他で経験を積み、産業カウンセラー、生涯学習開発財団認定コーチ、日本コーチ協会認定メディカルコーチの資格を取得。現在総合病院リハビリテーション科の副技師長として勤務。
精神医学や深層心理学をベースにしたコーチングを得意とし、医療従事者のキャリアパスからバーンアウトまでを扱う。クライアントからは「コーチングで、物事のとらえ方や考え方の選択肢が増えました」「職場や後輩を育てるために、またお願いします」「もう、一人で悩む必要はないという気持ちになれました」等の声が届く。慣れない管理業務や後輩指導に悩む30代~40代から支持を得ている。