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チーム医療推進会議が半年ぶりに開催【その1】

●チーム医療推進方策検討WGが事例集をまとめる
●ワーキンググループが203項目の行為を5分類

著者:牧 潤二 氏医療ジャーナリスト

厚生労働省では平成22年5月、チーム医療の推進を目的として、チーム医療推進会議を発足させた。後に、その下部組織として「チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ(WG)」、「チーム医療推進方策検討ワーキンググループ(WG)」を設置した。また、チーム医療推進会議、チーム医療推進方策検討WGには、リハビリテーション関係の職種を代表する者が構成員として参加している。今年(平成24年)6月13日、およそ半年ぶりにチーム医療推進会議(第11回)が開催され、主として、「チーム医療推進のための看護業務検討WG」からの報告について議論した。そこで、リハビリテーション職の視点から、チーム医療推進会議とWGの取り組み、第11回同会議のポイントなどについてリポートしよう。

●チーム医療推進方策検討WGが事例集をまとめる

厚生労働省は近年、チーム医療の普及・推進に取り組んできた。その一環として、同省の「チーム医療の推進に関する検討会」が平成22年3月、「チーム医療の推進について」と題する報告書を取りまとめ、看護師の役割を拡大する観点から「特定看護師」(仮称)という新たな制度・枠組みを提唱した。それを受けて同省は同年5月、チーム医療推進会議(座長:永井良三・自治医科大学学長)を発足させた。また、「特定看護師」(仮称)という新たな制度・枠組みの創設に向けて、同会議の下部組織の形で同年同月に「チーム医療推進のための看護業務検討WG」(座長:有賀徹・昭和大学医学部救急医学講座教授)を設置。また、同年10月、「チーム医療推進方策検討WG」(座長:山口徹・虎の門病院院長)を設置した。
リハビリテーション関係の職種では、半田一登氏(日本理学療法士協会会長)がチーム医療推進会議に構成員として参加。また、理学療法士の立場から小川克巳(熊本総合医療リハビリテーション学院)、作業療法士の立場から中村春基(兵庫県立総合リハビリテーションセンター・リハビリテーション中央病院リハビリ療法部長)、言語聴覚士の立場から森田秋子(初台リハビリテーション病院ST部門チーフ)の各氏が、同会議の下部組織の「チーム医療推進方策検討WG」に構成員として参加している(各肩書きはWG発足時のもの)。
その2つのWGで見ると、先に成果を出したのは「チーム医療推進方策検討WG」で、平成23年6月に「チーム医療推進のための基本的な考え方と実践的事例集」を取りまとめた。同事例集では、急性期リハビリテーションチーム、回復期リハビリテーションチームの先進的な取組例などが紹介されている。

●ワーキンググループが203項目の行為を5分類

「チーム医療推進のための看護業務検討WG」では、「特定看護師」(仮称)という新たな制度・枠組みの実現に向けて検討を始めたものの、それを創設することについて特に日本医師会を代表する医師らが強く反対し、看護界(看護教育界を含む)も一枚岩ではないため、これまでの約2年間で23回のWGを開いたものの、議論は混沌としている。その「特定看護師」という名称(仮称)も事実上、取り下げられて、現在では、それに代わる用語として「看護師特定能力認証制度」が使われている。同制度(案)は、現時点では医師または歯科医師でなければできないと考えられている医行為の一部を「特定行為」としたうえで、2年間の大学院修士課程を修了して「認証」を受けた看護師などが、医師または歯科医師の指示の下、その「特定行為」をできようにする、という仕組みである。
その「特定行為」の候補として挙げられて、検討している行為(一般に医行為と考えられるものを含む)は203項目ある。もともと、その203項目の行為は同WGにおいて選定したものだが、同WGの構成員である前原正明・防衛医科大学校教授が主任研究者として実施した看護業務実態調査(看護師が行う医行為の範囲に関する研究、平成22年度厚生労働科学特別研究事業)で用いたことで、大きな意味を持つこととなった。すなわち、前原構成員らは平成22年7月~9月、その203項目の行為について①現在、看護師が実施しているか否か、②今後、一般の看護師が実施することが可能と考えられるか否か、③今後、特定看護師(仮称)制度が創設された場合に実施することが可能と考えられるか否か――などについて、インターネットを使って全国の医師や看護師を対象に調査し、看護師による実施状況、医師や看護師が「可能」と考える割合などを明らかにしたのである。
現在、「チーム医療推進のための看護業務検討WG」では、その203項目の行為について、(A)医師のみが実施できる「絶対的医行為」、(B)行為の難易度が高い、あるいは判断の難易度が高い「特定行為」、(C)看護師一般が医師の指示の下に実施できる「一般の医行為」、(D)さらに検討が必要、(E)医行為に該当しない――の5つに分類する作業を行っている。「看護師特定能力認証制度」において認証を受けた看護師は、医師の指示(包括的指示)の下、上記(B)に相当する「特定行為」ができるようになる。なお、この「B」については、行為の難易度が高いものを「B1」、判断の難易度が高いものを「B2」というように、さらに区分をしている。
同WGは、その203項目の一部を分離し、207項目にして検討を進めている。現時点での各項目に対する評価は、Aが6項目、B1が33項目、B1またはB2が6項目、B2が55項目、Cが43項目、Dが19項目、Eが45項目となっている。ただし、今後、その評価は変動する可能性がある。

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