著者:光村 実香 氏(写真)1)2)
1)訪問看護ステーションあおぞら
2)金沢大学医薬保健研究域附属健康増進科学センター 研究協力員
Keywords: 訪問リハビリテーション,他職種との連携
訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)は、限られたサービス時間・頻度の中で治療効果をあげるために利用者本人に直接行っている訪問リハの内容だけではなく、利用者家族の様子も含め様々な情報を他職種と共有することが重要である。このやりとりは他職種との円滑な連携・ネットワーク構築としても欠かせない。しかしどのように理学療法士(以下、PT)が自らの職業専門性を活かしながら、他職種と連携を図っているのかは定かではない。
そこで本研究では訪問リハに従事するPTを対象に、理学療法の専門性を活かしながら他職種と共同する取り組みを明らかにすることを目的に行った。
【方法】
対象者は訪問リハに従事する女性4名、男性2名のPT 6名(訪問リハ経験年数2~12年)である。調査期間は2012年3月6日~3月12日である。研究目的や個人情報の保護等の説明を行い、同意書の署名をもって研究参加の承諾とした。
はじめにインタビューガイド(表1)を作成し、訪問リハを行う上での利用者や家族、他職種との関わりについて半構造化面接を行った。面接時間は60~90分、インタビュー内容を録音して逐語録におこし、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて分析をおこなった。
表1:インタビューガイド
理学療法士の専門性に関する質問
他職種との関わりについての質問
他職種との関係性構築(=連携)の具体的な方法・手段についての質問
その結果、訪問リハでPTが専門性を活かしながら他職種と連携するプロセスは、利用者や家族、他職種との関わりの中でPTの専門性を発揮しやすい環境を整え、在宅生活を基盤としたリハビリを展開できるようにすることであった(図1)。訪問リハに従事するPTは、訪問リハ開始時に利用者や家族、他職種とのやり取りの中で自らが訪問リハのPTとして思う役割とは「実生活に合わせた動作練習や評価」に対して、利用者・家族・他職種が求めるPTの役割は「病院で行われる機能訓練」と捉え、認識のズレがあることを意識する。そこで実生活に即した関わりをもつために、利用者本人だけではなく家族や他職種に対しても様々な手段を通して、その認識のズレをすり合わせていく。つまりこのプロセスこそ訪問リハでPTが自らの専門性を活かしながら、他職種と連携するために必要な手順であり、訪問リハPTの特性であると考えられる。