当院における訪問リハビリテーション終了者特性の検討
【はじめに】
当院では、平成12年より訪問リハビリテーション(以下訪問リハビリ)を運営している。平成19年8月より、人員配置を増大し、積極的に対応してきている。訪問リハビリの終了については、賛否両論が言われている。当事業所では、人員配置不足や地域の現状も踏まえ、必要に応じて、積極的に終了を行っている。そこで、終了者の基本情報等を比較検討し、終了者の実態を踏まえ、若干の考察を交え報告する。
【訪問地域の紹介】
千葉県銚子市は、人口69,472人、高齢化率30%(平成24年12月現在)、介護保険認定者3,155名(平成23年度)である。介護保険サービスにおいて、リハビリに関わる事業は、通所リハビリが6事業所、訪問リハビリが2事業所であり、老人保健施設は、3施設である。茨城県神栖市は、人口94,759人、高齢化率17.9%(平成24年12月現在)、介護保険認定者数2,637名である。介護保険サービスにおいて、リハビリに関わる事業は、通所リハビリ3施設、訪問リハビリ1事業所、訪問看護ステーション2事業所であり、老人保健施設は、3施設である。両市共に、第5期介護保険事業計画において、介護保険サービスの中で、訪問リハビリの占める割合は1割に満たない利用率となっている。
【対象と方法】
平成19年8月~平成23年12月までに訪問リハビリに依頼のあった222名に対し、平成23年12月までに終了に至っていた174名を対象とした。その中で、体調悪化等による入院や入所、終了に至った67名を除いた107名に対し、基本情報を比較検討した。
【結果】
終了者の平均年齢は、76.1歳であった。地域については、千葉県銚子市在住が51%、茨城県神栖市在住が49%であった。男女比では、男性51%、女性49%であった。訪問リハビリの継続期間は、平均で8.7カ月であった。短期集中加算対象者が33%を占めていた。介護度では、要支援Ⅰが2%、要支援Ⅱが14%、介護度Ⅰが10%、介護度Ⅱが19%、介護度Ⅲが21%、介護度Ⅳが23%、介護度Ⅴが12%であった。主要疾患では、脳血管疾患が26%、骨関節疾患が29%、廃用症候群が30%、リウマチが5%、パーキンソン病が4%、その他が6%であった。終了理由は、通所リハビリ移行が42%、目標達成が27%、通所介護への移行が6%、その他が、25%であった。通所リハビリ移行の中で、同一事業所への移行が78%、他法人の事業所が22%であった。訪問リハビリ実施期間を期間別に集計すると、1か月~3か月が27%、3か月~6ヶ月が30%、6ヶ月~9か月が14%,10か月以上が30%であった。
【考察】
2年前に調査報告した結果では、終了理由については、通所リハビリへの移行が51%を占めており、今回の結果でも、42%を占めていた。この結果より、訪問リハビリの終了ではあるが、リハビリの終了ではなく、リハビリの継続場所が確保された事での終了になっていると思われる。また、様々なケースを担当する中で、訪問リハビリ継続期間が長くなっている傾向であった。現在当事業所では、人員配置不足、地域の現状も踏まえ、積極的な終了を行っている。そのため、今後は、終了者の介護度等を追跡調査し、終了について多角的分析を行っていく。