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ジャーナルハイライト
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Communication
PT-OT-ST Channel Online Journal Vol.2 No.7 C1(Jul. 26,2013)

訪問リハビリテーション利用者に対する満足度調査から得られたこと

著者:尾形 麻里子 氏,大工谷 新一 氏
岸和田盈進会病院 訪問リハビリテーション
key words:訪問リハビリテーション,満足度調査

【はじめに】
当事業所では2010年より、訪問リハビリテーション(以下リハ)の利用者に対し、満足度調査を実施している。今回、この調査結果をもとにサービス内容の改善につなげることができたため、考察を加え報告する。

【調査目的】
調査目的は、1.訪問リハ事業所の管理者(筆者)として、訪問リハ実施状況とそれに対する利用者及びその家族の満足度を把握すること、2.利用者やその家族の意見を参考に、現在の当事業所の質を評価すること、3.問題点があれば速やかに解決し、サービス向上に努めること、4.利用者やその家族に対し、調査を通じて質の向上を図ろうとしている当事業所の姿勢を示すこと、5.訪問リハ担当者(以下担当者)に対し、利用者やその家族に評価される立場にあることを認識してもらうことである。

【方法】
2011年現在、当事業所の訪問リハを利用している利用者63名に対し、2011年9月から10月にアンケート調査を実施した。アンケート用紙は、担当者が訪問時に利用者あるいは利用者が回答困難である場合はその家族に手渡した。記載後、担当者は回答を見ないように用紙を封筒に入れて回収した。
サービス内容に満足していないと考えられる回答をした対象者に対しては、管理者が訪問、聞き取り調査を実施した。
質問内容は表1の通りである。

表1:アンケート調査の質問内容

【結果】
回収率は100%であった。問(1)は全員決められた時間に訪問していると回答した。問(2)は8名(12.7%)が短い、問(3)は10名(15.9%)が少ないと回答した。問(4)は4名(6.3%)が満足していない、問(5)は2名(3.2%)が問題があると回答した。問(6)は全員困ることはないと回答した。問(7)は2名(5.9%)が異なることがあると回答した(表2)

表2:アンケート調査結果

以上の結果をもとに、何らかの問題があることを示唆する回答が得られた利用者23名に対し、聞き取り調査を実施した結果、問題あり12名、問題なし10名、死亡にて未確認1名であった。問題ありの内訳は、「時間が短い・回数が少ない」10名、「複数担当で内容が異なる」1名、「担当者の対応に問題あり」1名であった。
聞き取り調査ののちに利用者やその家族、担当者および介護支援専門員と検討した結果、「時間が短い・回数が少ない」については、デイサービス等のサービス内容を変更(4名)、訪問リハの回数増加(3名)、外来リハに移行(2名)、変更なし(1名)となり、「複数担当者で内容が異なる」については、リハ内容を再検討した。「担当者の対応に問題あり」については、担当者を変更した。このケースは、今回の調査実施が管理者に相談するきっかけとなったと話された(表3)
以上の対応により、全利用者の了解、満足を得た。

表3:聞き取り調査結果と対応

【考察】
今回の調査結果から、訪問リハの現場では担当者や管理者が気づいていない問題が起こっている可能性が示唆された。調査によって明らかとなった問題点に対応することで、訪問リハやケアプランの内容を再考し、より良いサービス提供や、訪問リハの収益増につなげることができた。また利用者やその家族に対し、担当者に言えないことを直接管理者に相談できる機会を提供し、サービス向上を図ろうとしている当院の姿勢を伝えることとなった。担当者に対しては評価される立場であることを改めて自覚させる機会となった。
以上より、定期的に満足度調査を実施することにより、訪問リハにおける問題を顕在化させ、サービス向上を図ることができると考える。
今後の課題として、アンケート調査では問題ありと回答した利用者が、聞き取り調査では問題なしと回答したことについて、満足度調査はアンケート調査のみならず聞き取り調査といった個別対応も必要であること、アンケート調査だからこそ本音を言えた利用者がいたことも予測され、そのような利用者の意見を吸い上げる方法を検討する必要があると考える。
また今回挙がった問題点は、外来リハにも共通するものであり、訪問リハ特有の問題を把握する方法も今後検討していきたい。