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ジャーナルハイライト
PT
Article
PT-OT-ST Channel Online Journal Vol.1 No.2 A2 (Aug. 07,2012)

育児と仕事を両立する理学療法士がPTママの会に求めること

著者:山田 紀子 氏,河合 麻美 氏,荒木 智子 氏,飯高 加奈子 氏,板垣 美鈴 氏,市川 保子 氏,奥住 彩子 氏,中邑 まり子 氏
PTママの会
key words:質問紙調査,就業継続,環境整備

PTママの会は、リハビリテーション関連職種の女性が出産・育児と仕事を両立するための情報発信・ネットワーク形成を目的に2008年7月に設立された。現在会員数は全国に200名を超え、年々その数は増加してきている。
会員数の増加に伴い、会員の現在おかれている状況や、会への要望を再度確認する必要性が高くなり、今回、会員に対し質問紙調査を実施したのでここに報告する。
調査は本会会員205名にEメールにて行った。質問項目は入会動機、本会に期待することであり、選択回答方式、および自由記載での回答とした。結果、会員の21.9%にあたる、45名より回答を得た。
入会動機では、「情報が欲しかった」が一番多く、情報不足な現状が予測された。また「仲間が欲しかった」や、「勉強会に参加したかった」といった回答も多く、疑問や不安を共有できる仲間が身近にいないことや、勉強会などの自己研鑽の場になかなか参加できないといった現状も推測された。

また、現在求める会員交流については、仲間つくりや交流会の開催を求める声が多く聞かれ、入会動機の結果同様、仲間をつくりたいという現状がうかがえた。

会に期待することでは、情報交換や勉強会の開催を求める声が多く、入会動機や求める会員交流と通じる結果となった。

また自由記載では、子どもが小さく遠方での学会や研修会に参加ができない、子連れで参加できる勉強会が少ない、勉強に割く時間がとれず復帰した時の不安が大きいなどの悩みや、周囲に現状を理解してもらうにはどうしたらよいか、子どもとの向き合い方、仕事のやり方の工夫を知りたい等の情報を望む声が多く聞かれ、PTママの置かれる現状が現実的に見える結果となった。
今回の調査結果より、本会会員の求めているものが、仲間、情報、知識、自己研鑽であることが確認できた。PTの年齢層が20~30歳代の若い世代が多く、仕事と育児を両立することの不安や悩みを共有し、理解してもらえる存在が身近にいないことが考えられ、本会主催の勉強会や交流会、ブログ等がそういった不安や悩みの軽減に繋がっていると思われる。
また、本会主催の勉強会は必ず託児を設け、内容も子連れ参加がしやすいよう工夫し、参加費も安価に設定しているため、参加がしやすいと好評を得ている。このことからも参加費や旅費の負担や周囲の理解が勉強会等へ参加できない理由のひとつであることがうかがえ、参加できないことでの不安が感じられた。
また、PT協会をはじめとする各職域団体への啓蒙や外部団体との連携・就業環境整備についても多くの回答があったことから、本会会員が出産後も継続して就業することに対し前向きに考えている現状が示された。本会では、PTママ白書の作成や、協会・県士会や企業・団体との連携や協働、また、学会発表等で本会会員の現状や要望を発信することで、出産後も仕事を継続することへの理解、改善につながればと考えている。また、今後の課題として、関東地域以外での勉強会の開催や、会員同士の交流の持ち方についてなどがあげられる。今後これらを具体化していき、本会会員を始めとする育児と仕事の両立を目指すPTの不安軽減に繋げていきたいと考える。

PTママの会事務局:ptmama2008@gmail.com
PTママの会公式ブログ:http://plaza.rakuten.co.jp/ptmamaokai/